「…いっちゃん、すごい観察力だね」
「たりめーだ。
この河村依知だぞ?」
いっちゃんは大きな声で笑い出した。
バカでアホで全然頼りないあたしの両親。
…だけど、なんだ。
あたしのことちゃんと見てくれてるじゃん。
香水が欲しいって分かっていても、どのメーカーや種類かっていうのは、あたしを観察していないと分からない。
――――ありがとう、お父さんにお母さん。
お父さんとお母さんは、あたしのこと一番分かってくれてる、世界一の親だよ。
あたしがそっと微笑むと、突然いっちゃんが口を開いた。
「光里、ここにいろよ?」
「…へ?
いっちゃんっ!?」
あたしの叫びも虚しく、いっちゃんはリビングから出て行った。
あたしが不思議に思っていると、突然大きな音をたててリビングのドアが開いた。
「ハッピーバースデー、光里」
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