そして数十分後。
「負けた…」
今、あたしの目の前には高級料理店のシェフが作ったような料理がずらりと並んでいる。
あたしの家の食材で作ったとは思えないほど豪華。
「俺に負けて悔しいだろ」
そんないっちゃんは、あたしを見て得意気に笑っている。
…絶対に明日から料理の勉強してやる。
「そういえば、あれ開けねーのかよ」
いっちゃんは思い出したように、テーブルの上に置いてある、あたしの親からの誕生日プレゼントを指差した。
「…すっかり忘れてた」
ご飯を食べ終わったあたしは、プレゼントを開ける為にテーブルに近付くと、ラッピングを剥ぎ取った。
いっちゃんも、興味津々でプレゼントを見つめる。
ラッピングの中から出て来た箱を開けると、あたしが前から欲しがっていた香水が入っていた。
「これって…」
「光里が欲しがってた香水だよな?」
…へ?
「いっちゃん、なんで知って―――」
「光里、その香水のブランドのカタログ、いつも見てたじゃねーか」
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