「小さい頃のあたしはね、まだ恋とかも分からなくて、ほんとにお子様だった。
男の子とかも全然意識してなくて、普通に接してたし。
…でもね、いっちゃんたちが引っ越してからはすごく寂しかった。
いっぱい泣いて、駄々をこねて、お父さんとお母さんをたくさん困らせちゃった。
あの頃のあたしは、傍にいた人が突然いなくなったから、寂しがっていっぱい泣いたんだって思ってた」
あたしの話を静かに聞いてくれているいっちゃん。
この雰囲気がなんだか心地良かった。
「でもね、最近気付いたんだ。
あたしが寂しがって、いっぱい泣いてた原因は…、
―――いっちゃんのことが、あの頃から大好きだったからなんだって。
知らず知らずの間にいっちゃんのことを大好きになっていて、かけがえのない人になってたんだよ。
そうやって今は思うの」
あたしは全てを話し終え、隣にいるいっちゃんはずっと黙っている。
やっぱり、急にこんな話するのはダメだったかな?
だけどね、伝えておきたかった。
あの頃から、あたしはいっちゃんを好きになってたんだって。
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