あたし達がカフェを出て、約十分。
あたしはいっちゃんと手を繋いだまま、目的地に到着した。
「ここって…」
いっちゃんは目を大きく開く。
いっちゃんが驚くのも無理はない。
ここは、いっちゃんが引っ越す前に、あたしといっちゃんと那知君の三人でよく遊んでいた公園。
あたし自身、ここに来るのは久しぶり。
「ここ座ろっ!」
あたしといっちゃんはブランコに乗った。
「…ほんと久しぶりだな。
何にも変わってねーじゃん、あの頃と」
「そーだね…。
昔、三人で鬼ごっこしてて、あたしが逃げすぎて迷子になったこともあったね」
「あん時はほんと心配した…。
兄貴と必死になって探したし」
いっちゃんとの懐かしい思い出がたくさん溢れてくる。
不思議だよなあ。
今、あたしの隣にいっちゃんがいるなんて。
「それでね…あたし思ったんだ」
いきなり話題を変えたあたしを、いっちゃんは真剣な目で見ていた。
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