あたしはそんないっちゃんを急いで止めに行った。


いっちゃんは、あっけらかんとした表情だ。



「だめだよ、いっちゃん!

ここのショップ高いし、しかもワンピースだよ?」



ここのショップは、いくら高校生に人気があるとはいえ、簡単に買えるような値段のショップじゃない。


あたしだって、お小遣いやお年玉を溜めて買ってるようなところだった。



「大丈夫だっつーの。

今日は光里の誕生日なんだし、お金の心配はすんな」



ニコッと笑ういっちゃん。


そんな顔されたら、断れなくなるよ―――



黙り込んだあたしを見て満足したいっちゃんは、再びレジへと向かった。



…いっちゃん、ほんとにありがとう。



少し経って、いっちゃんがかわいいショップバッグを持ってきた。



「俺からの誕生日プレゼントだから。

大事にしろよ?」



「…いっちゃんありがとう!」




.