…だけど、今日はあたしの誕生日。
主役のあたしがこんなに落ち込んでたらいけないよね?
あたしは鏡を見ながら、不安な顔付きをキッと変えた。
よし、元気出すんだ光里!!
「…お前何してんだよ?」
「…へ?」
気付けばあたしは、気合いを入れすぎて拳を突き上げていた。
そして、いつの間にか部屋に入ってきたいっちゃん。
…見られた。
「えっと…
空手の練習っ!?」
「ふーん」
あたしの苦し紛れの言い訳に、いっちゃんはしぶしぶ納得してくれた様子だった。
「いっちゃん、なんであたしの部屋に居るの?」
「…もう約束の時間だろ。
迎えに来てやったんだよ」
いっちゃんにそう言われて、あたしは急いで時計を見た。
…確かに時間だ。
「ありがと、いっちゃん!
あたし遅れるところだった!」
「別にいーけどよ。
そんじゃ、行くぞ」
「うんっ!」
あたしは顔を綻ばせながら、部屋を出ていった。
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