人目を気にせず、そのまま歩き出すいっちゃん。
もちろん、あたしやあたし達を囲んでいる人達はびっくりしている。
こんなにも派手にラブラブしてるのに、あたしはいじめられていない。
いっちゃんはかっこいいし結構モテるから、いじめられると思ってたんだけど…。
彩音高校のみんなは、すごく心が広いんだね…。
というか、どっちかって言うと他人事!?
彩音高校の皆さん…。
こんなあたしたちを見守っていてくれてありがとう…。
「ね、ねぇ…。
もう大丈夫だよ、重いでしょ?」
「うん、重い」
廊下に出たあたし達。
いっちゃんから出た言葉は、あたしにとってかなりショックな言葉で。
あたしは顔を真っ青にさせていた。
「…って、ウソだし。
本気にすんなよな」
いっちゃんはあたしの頭をくしゃくしゃすると、あたしを降ろしてくれた。
時々、いっちゃんが突然しだす行動に、あたしの心臓は鳴りっぱなし。
いつ壊れてもおかしくないよ、この状況は。
あたしが頬を両手で押さえていると、いっちゃんが思い出したように言った。
「そういえば、今日から五日後って何の日か覚えてるか?」
今日から五日後って言ったら…、十月十日、土曜日。
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