いっちゃんとそんな会話をしながらも、あたし達の乗った車はどんどん街らしいところに入っていく。


そして、一つの建物の前で止まった。



「…す…すごっ……」



そこは、日本でも有名な高級ホテルだった。


外見だけでも、一般人は入れないような、そんなオーラを持っている。



「さて、行くか」



お父さんの言葉を聞いたあたし達は一斉に歩き出した。



会場になってるホテルの式場の前には、いっちゃんが言ってたように半端ない数の報道陣がいた。


カメラのフラッシュもすごい。



おまけに、五メートル間隔くらいで警備員が立ってて、ほんとに厳重な警備。




「じゃ、お父さん達受付してくるから。

光里と依知君はそこにいてな」



あたしが慣れない光景に呆然としていると、お父さんとお母さんは受付へと向かって行った。



…やっぱり、気まずい。



あたしが目をつむった瞬間、誰かがいっちゃんの名前を呼んだ。



「依知!!」




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