いっちゃん、あたしを心配してくれてたんだ…。


いっちゃんの肌から流れ出ている、尋常じゃないほどの汗がそのことを物語っている。


なのに、あたしは那知君と呑気に話したりして…。



「…ごめん、いっちゃん」


あたしは複雑な心境でいっちゃんに謝った。

だけど、いっちゃんはあたしに優しく微笑んだ。



「光里は別にいいんだよ。

悪いのはあいつなんだから」



そう言って、いっちゃんが指差す方向には那知君が。



「あれ?依知くん。

人に指を差したらいけないんだよお?

幼稚園の時に習わなかったのお?」



「兄貴…キモい。

やめろ、この歩く産業廃棄物」



「はい、すいません」



那知君、弟みたい…。

というか、いっちゃん容赦なさすぎでしょ!



「で、兄貴は何しに来たんだ?」



すると、いっちゃんがあたしもずっと思っていた疑問を那知君にぶつけた。



「そう!!

今依知が言ったことが、俺が文化祭に来て光里ちゃんをさらった最大の目的!

さて、俺は何しに来たでしょう?」



人差し指を天に向けてニッコリ微笑む那知君。

…クイズ形式ですか。




.