俺はその場所に近づいてそっと覗いてみた。



そこには俺の予想通り、光里と光里を連れ去った男がいた。


さっきの笑い声は光里の声だったらしい。



俺が見る限り、光里は隣に座っている男に抵抗していない様子。

というか、どっちかって言うと仲がいいように見える。


…どういうことなんだ!?



俺の頭が疑問の嵐になっているとき、光里がちょうど俺の方を向いた。



「あれ?いっちゃんだ!!」



そう叫んだ光里はやっぱり笑顔だった。


そして、光里を連れ去った男も俺の方を向いた。



その男を見た瞬間、俺は固まってしまった。



―――光里を連れ去った男の正体。



それは――――




「よっ!!

久しぶりだな、依知」




―――俺の兄貴・那知だった。




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