俺は心が潰れそうになる気持ちを押さえながら、猛スピードで中庭に着いた。



「…ハァッ……」



こんなに必死になって走ったのは、あの夏合宿ぶりだ。


俺は膝に手をついたまま辺りを見回す。


が、光里達らしき人はどこにもいなかった。



…中庭じゃないってことか。



「マジかよ…」



俺は小さく呟くと、くるっと向きを変えた。


その時だった―――




「あははっ…!」



どこからか、聞き覚えのある笑い声が聞こえてきた。

女の人の、高めの声。



俺は、笑い声が聞こえた方に近づく。


………まさか…な?


俺にある疑問が襲い掛かるが、無理矢理その疑問を消した。


声が聞こえてきた所は、俺がさっきまでいた場所からは死角になって見えないところだった。




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