俺は教室内に作られたキッチンでひたすら調理に専念していた。

調理っていっても、ジュースを注いだりするだけだけど。



そして、さっきから教室内がいつにもなく騒がしくなっている気がする。


キッチンの中でも今俺がいる場所は、傍にある壁がちょうど死角になって教室内を見渡すことができない。


何かあったのだろうか。



そう思った時、いきなりキッチンに青木が飛び込んできた。



「河村、大変だぞ…!?」



「って、青木?

そんなに急いでどうしたんだよ」



「光里が知らない男に連れ去られた!!」



「は?」



青木からその事実を聞かされた瞬間、俺はとてつもない不安に襲われた。



…光里が、さらわれた!?



「俺たちで調理の方なんとかするから、お前は光里捜してこい!」



「…ほんとにすまんな。

じゃ、行って来る!」



俺は青木達にすべてを託すと全速力で教室を出た。




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