あたしはすべてを聞き終えて、呆然としていた。



…すべては、あたしの勘違いだったってこと?


いっちゃんが奈美さんとキスしてたことも、どうやらあたしがいっちゃんの部屋だと間違って覗いていたということも。



とにかく…

あたしの涙を返せっ…!!


今度は自分に呆れて涙が出そうになる。



あたしが頭を抱えようとした時、奈美さんが口を開いた。



「そういうことなの。

勘違いさせてごめんね?光里ちゃん。


あたし、そろそろ飛行機の時間だから帰るね。

依知君、光里ちゃん、お元気で」



奈美さんが微笑んであたし達に手を振ってきた。

あたしといっちゃんもそれに応える。



「はい、元気で!」



「ほんとお世話になりました!」



もう一度微笑んだ奈美さんは、あたし達に振り向くことなく帰っていった。


…奈美さんが何故ここに残っていたのかは、まだわからないままだけどね。




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