「おいっ」 ガムを噛むのをやめた篠原が、唐突に話しかけてきた。 ちょうど信号機は赤に変わり、俺はブレーキを踏みこみ、停止線へと止まった。 辺りは夕方になり、赤みを帯びた光が射していた。光が視界を邪魔する。 「なんだ?」 俺は腕時計を見ながら答えた。時刻は午後四時を回ろうとしていた。 決行まであと少し。 途中でアクシデントでも起きればいいのに。そんなことがほんの少し頭を過った。 「金を手にしたらどうしたい?」