俺はハンドルをぎゅっと握り締め、ゆっくりとアクセルを踏みこんだ。車は前へと進んだ。 「なぁ、篠原。本当にやるのか?」 助手席に座る篠原を、横目で見ながら様子を伺うように言った。 「なんだ?急にそんなこと言わないでくれよ。怖じけづいたのか、黒河」 いや。と小声で答え、車を走らせる。車の通りはなく、閑散とした辺りだった。 「場所はもうすぐだったよな?」 「あぁ」 篠原はガムを口にしながら言った。クチャクチャと音が耳に障る。