そう。俺が望んだ日。

「本当に大丈夫なのか?」

「大丈夫だ。なんだか変な夢を見て、少し混乱してただけさ」

 さっきまでの現実が夢を見ていたんではないかと錯覚する。

 俺はルームミラーを見ながら、自分の顔を見た。

 まだしわも白髪もなく、髪もふさふさだ。

「間違いない。これはあの日だ」

「ん?何か言ったか?」

「いや、なんでもないさ」

「そうか。じゃあ、行くか」

「あぁ」

 窓越しに居た篠原は車の助手席に乗り込んだ。