ギィィィ 店の扉がゆっくりと音を立てながら開いた。 「すみません。誰か居ますか?」 先ほど見た中年の男が様子を探るように中を見渡しながら、申し訳なさそうに、扉の向こうから顔を覗かせた。 「はい」 奥からゆっくりと刹那が出てきた。背筋が伸びていて、着物がよく似合っている。 「あの、この店は一体、何なんでしょうか?」 男は小さな声で刹那に問い掛けた。 「あ、気になったもので、ついつい入ってしまいまして」 と付け加えた。