「あれ?潤?あなた?何しているの?」

 俺はボールを持ったまま、制止する。

「おっ。江里子、おかえり」

「母さん、おかえり。今キャッチボールしてたんだ」

「ただいま。久しぶりにしているのね」

 にこやかに笑う母親。

「ちょうどよかった江里子。こいつが小さい時、野球の試合のあと、泣きながら帰ってきたのって何が原因だったか覚えているか?」

「野球の試合?・・・あぁ、ははは」

 母親は少し考えたあと、何かを思い出したかのように笑い始めた。