妙にくすぐったい気持ちになって、なんだか少しむず痒くなった。 「ほら、潤。さっさとグローブ嵌めて。早くしよう」 やりたくてたまらないのか、急かしてくる。 久々に手にしたグローブは、冷たくてなんだか少し小さく感じた。 「さー、投げるぞ。潤、おまえはあっちな」 五メートルくらい離れた先を指差し、父親は俺の背中をポンっと押しながら言った。 「はいはい」 素直に聞き、歩き始める俺。でも五メートルじゃ近いと思い、更に少し離れた。