「せ、つな?」

 刹那を呼んでも、もう何の反応もなかった。

 体が痛い。目をゆっくりと閉じて、周りの音を聞いた。何の音も聞こえない。でも、この感覚が心地良い。そんなことを思っている時だった。

「・・・んっ、じゅ」

 何か、聞こえた。

「・・・ねぇってば、目を開けてよ、潤。潤っ」

 必死な声が、俺を呼んでいる。この語りかけは・・・。

「き、・・・か」

 返事をしようと声を出そうとしたが、思うように出なかった。ゆっくりと目を開けると、目にいっぱいの涙を溜めた恭華が俺を覗き込んでいた。

「・・・ぶ、か?」

 懐かしい。ずっとこの手に抱きたかった恭華が目の前に居る。

「潤っ、潤。良かった」

 恭華の涙が俺の顔に落ち、頬を伝った。

「大丈夫?声出る?」

 声を震わせながら俺に問う恭華。

「き、うかは、だ、ぶか?」

 上手く声が出ない。