もう消える。力なく床に横たわった。

 その時、クロが私の手のところに寄ってきたのが分かった。

「ご苦労だったな、刹那」

「・・・クロも、ね?私、あなたとい、れて、よかった」

「・・・すまなかった。早く開放してやりたかったんだが」

「いい、の。今、から、幸せにな、れるはず、だから」

 途切れ途切れに声を出した。

「クロ、また、ね」

 そう言って、クロを撫でた。暖かい。

「あぁ。またな」

 クロの少し震えた声が聞こえた気がした。

 何の音も聞こえなくなってきた。手に力が入らなくなってきた。もうここまでみたい。

「ばい、ば、い」

 視界が真っ暗になり、無音になった。ここで私の意識は途切れた。