時 空 堂


「クロ、刹那の記憶はどうにかならないのか?」

「・・・なるさ」

「じゃあ、今すぐ戻してくれよっ」

 クロに詰め寄った。

「それをして何になる?刹那が消滅し、恭華になったとして、もう恭華の肉体はないのだ。お前は魂を成仏させたいのか?」

 口を閉じ、思わず黙った。

「潤、お前は会いたいだけなのか?取り戻したいなのか?成仏してもらいたいのか?おまえの選択は何なのだ?」

「俺は・・・、俺の選択は思い出して欲しい。俺のことを」

「それだけか?」

「・・・それだけなわけないだろう?」

 声が荒ぶる。

「そんなわけないじゃないか。・・・俺は、恭華ともっと話したかった。抱きしめたかった。くだらない話をして笑っていたかった」

 悲痛な叫びだった。



「もっと、もっと一緒に生きていて欲しかった」

 涙が頬を伝ったと同時に床に膝から崩れ落ちた。