「声?」
「うん。刹那とあいつじゃ話し方が違うから正直最初は気付かなかった。それにあいつの肉声は何年も聞いていなかったからね」
刹那はじっとこっちを見ていた。
「その声は本当にこの声か?」
「・・・うん。きっと居心地が良かったのも、大好きな人の声だったからなんだよ。これで確認したんだ」
家からポケットに入れてきたものを、ポケットからそっと出した。
「それは?」
「カセットテープだよ。ここにあいつの声が入っている」
そう言いながら、俺はレコーダーにカセットテープをセットした。
「再生するよ」
そう言うとクロは小さく頷いた。刹那もじっとこっちを見たままだった。
深呼吸して、再生ボタンを押した。



