「最初はこの不思議な空間が気になったから。その次に、刹那、君が気になったんだ。寂しそうな、苦しそうな顔で、人に指を向けていた。そんな顔見たら、放っておけないだろう?」
「・・・潤」
「それに居心地がよかったんだ、刹那がといると。そして、時が流れるにつれて、ある違和感を覚えたんだ」
「違和感?」
クロはじっとこっちを見た。
「あぁ。そして、ある程度の確信を持ったからこうして、ここに来ているんだ。もう二度と来ないつもりだったんだけど、・・・その、・・・ごめん」
来ないと言った手前、急に申し訳なくなって少し俯いた。
「そのピアス以外におまえは何かに引っ掛かっていたのだな?何の確信を持って再びここに来た?」
「確信にはならないかもしれないけれど、でも自分の直感を信じたいんだ」
「ほぅ。では聞かせてもらおうか」
ゆっくりと息を吸い、深呼吸をした。そして、一息置いてから言葉を発した。
「声だよ」



