「そう?平気よ。なんでもないわ」

 心なしか元気がないように感じる。でも大丈夫と言われた以上、何も言えなかった。

「まだ終わってない。今からなの、やりたいこと」

 先ほどの質問に答えるとまた「そう」と答えた。

 それから15分程経過した頃、病室の扉がコンコンと音を立てた。あえて、声は出さない。窓の方を見るとお姉さんは消えていた。

「失礼します、相川です。・・・桜さん?」

 寝転んだまま相川さんを見ると、一人のようだった。

「相川さん、本当にありがとうございます」

 起き上がり、頭を下げると相川さんは驚いていた。

「座ってください。・・・あの、どうしたんですか?」

「いえ、案内所で桜さんの病室を聞いたときに看護師の方が、桜さんは話すことができないと・・・」