コンッコンッ

 考え事を遮るように、急に病室のドアがノックされ、スライドドアが開いた。

「あら?母さん起きてたの?」

「あら、本当珍しい。いつもならうとうとしてるのにね」

「今日は雨でも降るんじゃないか?」

「ははは。勘弁してくれよ」

 賑やかに話しながら入ってきた中年の夫婦らしき二組。

 見たことのある顔。ううん、見たことのあるなんてもんじゃない。何十年も共にしてきた私の大切な大切な子供たち。