前・・・?そうだ、彼女だ。彼女に助けて貰ったらいいんだ。
 
「ねぇ、居ないの?助けてよ、お願いだ、助けて」

 そう叫ぶと、俺の呼んだ彼女が目の前にすぅっと現れた。

「何?」

「お願い。助けて。頼むっ、お願いします」

「助ける?何故?」

 すがるように彼女の両腕を掴む。着物がくしゅっとなった。

「このままじゃ、あいつに殺されるんだ。早く、早く俺を元の場所に戻してくれ」

 彼女は懇願する俺をじっと見つめていた。