「残念だわ。もう言う事を聞かない恭ちゃんなんていらない」 そうにっこりを俺を見据えると、自身の背中に手を回した。 「いらないってなんだよ、俺はあんたの子供だろ?」 「そうね、でもあの人が居なくなったこの世界にもう何の未練なんてないの。あの人にそっくりな恭ちゃんが代わりをしてくれたら良かったんだけど、もういいわ。楽になりましょう。ねっ?」 そう言って背中に回した手を前に出す。その手には鋭く尖った包丁が握られていた。