そして翌日。昨晩のような不快感もなく、集中して勉強ができた。幸いあいつが邪魔をしてくることはほとんどなく、概ねスムーズだった。 あとは受験だけ。 「頼むから、今日も目が覚めたら元に戻ってたってだけは勘弁してくれよ」 ふとつぶやくように独り言を発した。 「それはないわよ」 返ってくるはずのない返答が背後から飛んできて、勢いよく振り返った。 そこにはあの店で見た着物の女の人が少し青白い顔で、弱弱しい笑顔で立っていた。