そのコップは空(ソラ)だった。





群衆が集う体育館。


私はこのあと皆の視線を浴びる事になる。


やはりあのトラウマは回避できないのか。



心臓の音が周りの雑音より騒がしく聞こえる。


怖い…。



今更、弱気になっちゃダメなのに…。



舞台裏でパイプ椅子に座り待機する。



生徒会長がステージに立って話をしている。



貫禄があるなぁ…。



私もいつかあんなふうに堂々とステージに立つ事が出来るのかな…。



「須川!」



表に繋がっている舞台裏の出入口から黒住くんが現れた。