「そんなしょぼくれるなよ」


彼の言葉に私は顔を上げた。


私、下を向いていたのか…。


「もっと喜んでくれると思ったのに…。」


ぼそっと呟く。ごめん。


「“ありがとう”って…なんだか偉そうで…」


「へ?」

彼はとぼけた顔をする。


そうだよね、普通の人じゃ分からない。


“ごめんなさい”って謙っているから言いやすいけど、



“ありがとう”ってなんだか偉そう…。



“私は他人がこうするのを待っていたのよ”と言っている気がして。



「もしかして“ありがとう”って言うのが苦手か?」


「え?」