そのコップは空(ソラ)だった。





その日、家に帰ると

お父さんがいた。



いつもは仕事で帰るのが遅くてめったに顔を合わせないお父さん。


久しぶりに見たお父さんは不機嫌そうだった。


まっまさか・・・今日、怒られたのを学校から電話で・・・。


という被害妄想を思い浮かべながら、リビングの席に着いた。



「優子」

お父さんは低くしゃがれた声で言った。


「転校しよう」


え―!?