「なー、バッティングセンター行こうぜー?」


こいつの唐突さには慣れた。


「なんで俺がお前とバッティングに行かなきゃなんねぇんだよ。」



「そりゃあ、付き合ってるからだろ。」



はぁ…こいつ、これから"付き合ってる"ていうのが


理由で俺をいろんな所に振り回すんだろうなぁ~。


もぅ目に見えている。



「分かったよ。」


「よっしゃ~!」


杉浦はガッツポーズをした。


なんで断らなかったって?



俺もこいつも帰宅部で


暇人だったからだよ。













カッキーンッ!!!


女のくせに120キロのボールを簡単に打ちやがった。



まったく腹が立つ女だ。



弟がピッチャーとキャッチャーであって


彼女がバッターになってよく練習してたらしい。


こんな華奢な体であんな速球を


打てる筋肉がどこにあんだよ。





俺も負けじと140キロの球を打っていた。


中2まで野球をやっていた。


でも、それからやっていなかったので


体がなまっていてたまに空ぶる。



実を言うとバットをボールに当てるのが精いっぱいだ。




「おっ!すげぇーじゃん!!」


休憩している杉浦が声をかける。



「なんだよ、野球やってたのかよー。」


「昔な。」


「なんで辞めちまったんだ?」



「・・・肩の故障だよ。」


杉浦は"ほーう"と言っただけで


それ以上は問いてこなかった。




そうだよ、それで・・・


ソラとの関係が悪くなっちまったんだ。