まだ、かの少将殿が元服を間近に控えた、童のころにございます。

少将殿のお父君、左大臣(さのおとど)殿と、その北の方であられます紅君(くれないのきみ)には、後の少将殿となられます一の君のほかに、二人の姫と二人の若君がいらっしゃいました。

まだお生まれから二年(ふたとせ)ほどの三の君は別にしても、他の四人のお子がたは、それぞれに美しく、才長けた稚児として、都にも響くご評判であられます。