「いつだったか、主上の前で、私の琴と君の笛をあわせた夜――……」

そう――……

それは、二年前の春の夜にございます。

当夜のことを思い起こせば、一の君などは、いまだに、気恥ずかしく、そのかんばせが赤く染まるほどでありますれば、お忘れになどなろうはずもございません。