放課後。

尚翔はクラスまで
洋祐を迎えに行き、一緒に帰った。

方向の違う洋祐が、
普段一緒に帰ろうと誘う事は
滅多にない。

だから尚翔は何か話が
あるのだろうと察していた。

「…お前が一緒に
帰りたがるなんて珍しいな。」

「あぁ、ちょっと話があってさ。」

「やっぱりか。」

「あ、バレてた?」

「もちろん。で、何の用だよ?」

「…可憐の事だ。」

「可憐?」

「昼間、あいつと話してただろ?」

「あぁ、黒板が
消せないみたいだったから、
助けてやったんだ。」

「そっか。
…お前、可憐の事どう思う?」

「どうって?」

「好きか嫌いか。」

「…お前らも好きだね、そういう話。
七海もしてたぞ。」

「どうなんだ?」

「そりゃ、可憐は可愛いし、
優しいけど、好きだって
意識した事はないよ。」

「そっか。
…俺、昔から可憐が好きなんだ。
小さい頃からずっと見てきた。」

「そうなのか。」

「だから、お前が可憐を好きなら
ライバルになると思ったんだ。」

「安心しろ。
今はそんな気持ち全然無いから。」

「そっか。」

洋祐はそう安心した
ように言って、笑った。