尚翔は食べながら可憐の事を見ていた。

可憐をしっかり
意識して見た事は無かったが、
改めて見ると結構可愛い。

一重だけど目は大きくて、
鼻も普通に高いし、
唇もつやつやでぷっくりしている。

つまり、非常に整った顔立ちなのだ。

じっと見つめていたら、
七海に茶化された。

「ちょっと、尚翔くん。
可憐ばっかり見つめちゃって。
好きなの?」

「えっ…違うよ。」

「隠さなくってもいいのに。」

そう言いながらも、七海は複雑だった。

自分の事を好きになってほしい。

好きならばそう思うのが普通である。

「だから、違うってば。」

「じゃあ、誰が好きなの?」

「まだ解らないよ。」

「居ないんだ?」

「あぁ。」

七海は少しホッとした。

もしも尚翔が可憐を好きならば、
自分には勝ち目がない。

七海には自信がなかった。

唯一自信のある事と言えば、
元気と笑顔。

可憐のような、おしとやかな所は
持ち合わせて居ない。

だから可憐がうらやましく
思えるのだった。