体育祭当日。

尚翔は朝から記録係の
テント下に居た。

もうすぐ開会式。

周りでは、同じテントで
作業をしている放送係が
最後のチェックをしたり、
来賓接待係が
お茶を運んだり慌ただしい。

入場行進すら参加出来ない尚翔は、
ずっとテント下で
作業をしていなければならない。

空を見た。

今日もいい天気で、
空は雲ひとつない快晴である。

その時だ。

「ナオ!」

呼ばれて振り向くと、
叔父と叔母が居た。

慌てて杖を取り、側に行く。

「ははは、慌てなくても逃げないよ。」

「来てくれて嬉しい。
最後まで居る?」

あの事があってから、
尚翔は叔父と叔母を信頼している。

本当に親子になっても
良いくらいだ。

「あぁ、お休みを貰ってきたからね。」

「お弁当作ったから
後で一緒に食べましょうね。」

「ありがと。」

「保護者席に居るから、
午前の部が終わったら来なさい。」

「解った。」

叔父と叔母が去っていき、
尚翔は席へ戻った。