注文を済ませ、
七海と向かい合って座る。

七海は水を一口飲んだ。

「…七海、お前
さっきの事気にしてるだろ?」

「えっ?」

「見てれば解るよ。
俺とあの話した後から、
ずっと元気無いだろ?」

「…バレた?」

「あのな。」

「そっか…
尚翔くんにはお見通しかぁ。」

「…気にするなって言っただろ?」

「だって、あたしが訊かなきゃ
尚翔くんにあんな悲しそうな
顔させずに済んだのかな
って思ったらさ…。」

「お前なぁ、そんな事
気にしなくたって良いんだよ。
確かに失ったものはたくさんある。
だけど、ここに来て得たものは
それ以上にあるよ。
怪我しなきゃここには
来れなかったし、
七海や可憐、洋祐達に
だって会えてない。
だから、七海が気にする事なんて
一ミリもない。」

「…そっか。そうだよね。
考えすぎか。」

「おう。」

その時、頼んでいたものが来たので、
七海と一緒に食べてから帰った。