善は急げ?
思い立ったら吉日?
よくわからないけど、先延ばしにしていいことがあったためしがない
真緒の手をとり、芯の家へと向かう
ご近所もご近所だから、考えごとする暇もなかった
「真緒」
「うん」
お互いの心の準備を整えたのを確認して、芯んちのインターホンに手を伸ばす
ピンポーン
静かこの場所に、明るい音が響く
『はい』
「新」
『えっ!?新っ?直ぐ開ける!!』
芯の嬉しさと驚きを含んだ声が、俺の胸を締め付ける
喜んでもらう資格なんかないよ
その向日葵みたいな笑顔を、今から曇らせるのが自分なのだと心が重い
本当に直ぐに開いたドア
芯は嬉しさいっぱいの顔を向ける
そのまま、横に立つ真緒を見て、芯は顔をくしゃりと歪めた
笑顔には変わりない
きっと見たら普通に笑顔だって思えるだろう顔
だけど付き合いの長い俺たちには通用しない顔
一つため息を吐くと、芯は頭を掻きながら家の中を一瞥する
「家上がれっていいたいけど、厳しいかな」
ははは、そう無理な笑い声が耳に痛い
「うん」
そうとしか答えられない
もっと気の利いた言葉がいえたらいいのに
「芯に聞いてほしいんだ」
「新にそう言われたら聞くしかねぇよな」
芯はどこまでもいい奴で、こんなタイミングでどんな話か察してるのに、いつもと変わらない
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