体育館に入場してから10分も立たないうちに彼女は見つかった。 「入学生代表…鈴木未来」 「はいっ!!」 凛とした声が体育館にこだまする。 聞き覚えのある、力強くでもどこか繊細で優しげな声音。 足音さえ立てない物静かな歩き方 前を見据える真剣な眼差し 直線にのびた真っ直ぐな姿勢 彼女の手には原稿さえなかった。 先ほどとはまた違う雰囲気で… 変な奴 でも凄い奴 これが彼女の第一印象だった。