「お食事のご用意はできていますので」

使用人の一人が、僕を部屋に案内する

そこには母の姿はなく、見知らぬの女性が和服姿でぽつんと座っていた

やっぱり

母の企みなど…

僕は部屋に入ると、座布団の上に正座をした

「有栖川聖一郎です」

「わたしは椎名乙葉と申します
聖一郎様のお母さまからお声をかけられたときはとても嬉しく…」

僕はふぅっと息を吐いた

「…面倒ですか?
すでに想いを寄せている方がいらっしゃるとか」

「聞いているんですか?」

「ええ
でもそれでも良いとわたしは考えております
遊びはよくあることです」

「遊びね」

僕は遊びだとは思ってませんけど

愛子さんしか愛さないし、愛せない