「涙は出ていない」
「あれ? そうだっけ?
さっきなんて言ってたっけ?
愛し過ぎちゃって、元さんに抱きつきたいだっけ?」
「違うだろっ!
今の元は嫌いだ、と言ったんだ
わたしの気持ちを全く理解してくれない
わたしの行動をわかってくれない
だから嫌いだ
…嫌いなはずなのに、好きなんだ
むかついても苛々しても、やっぱり元が好きなんだ」
布団の中から、飛び出してきた乙葉さんが怒鳴った
ふうん、よしっ
うまくいったわ!
私は携帯を乙葉さんに向けたまま、ニヤリとほほ笑んだ
逆に乙葉さんの表情はみるみる真っ青になっていった
「あぁいぃこぉ…」
「何?」
「これって通話中じゃないかっ!」
「あれ? そうだねえ…
もっしもーし、聞こえてますぅ?」
私は携帯を耳につけると、わざとらしい声をあげた
「あら? 何も聞こえないよ
誰も聞いてないみたい
ほら、乙葉さんも『もしもし』って言ってごらんよ
何も聞こえないよ?」
私はそう言って、乙葉さんの耳に携帯を当てた
「あれ? そうだっけ?
さっきなんて言ってたっけ?
愛し過ぎちゃって、元さんに抱きつきたいだっけ?」
「違うだろっ!
今の元は嫌いだ、と言ったんだ
わたしの気持ちを全く理解してくれない
わたしの行動をわかってくれない
だから嫌いだ
…嫌いなはずなのに、好きなんだ
むかついても苛々しても、やっぱり元が好きなんだ」
布団の中から、飛び出してきた乙葉さんが怒鳴った
ふうん、よしっ
うまくいったわ!
私は携帯を乙葉さんに向けたまま、ニヤリとほほ笑んだ
逆に乙葉さんの表情はみるみる真っ青になっていった
「あぁいぃこぉ…」
「何?」
「これって通話中じゃないかっ!」
「あれ? そうだねえ…
もっしもーし、聞こえてますぅ?」
私は携帯を耳につけると、わざとらしい声をあげた
「あら? 何も聞こえないよ
誰も聞いてないみたい
ほら、乙葉さんも『もしもし』って言ってごらんよ
何も聞こえないよ?」
私はそう言って、乙葉さんの耳に携帯を当てた

