「チッ…クショ――――」


誠司の声が廊下に響く。


「佐川の声…夏帆、来るから…逃げて」


逃げて…ニゲテ…

廊下には絶対にQがいる。


「逃げられないよ…」


「…早く逃げて」


気付かなかった。

亜紀は、腹部に3箇所の刺された傷跡があった。

出血は止まらずに流れ続ける。


「イヤッ――――亜紀っ」


夏帆は必死に亜紀の腹部を押さえる。

ドロッ

それでも赤黒い血液は溢れ出す。


「止まってよ…止まって――――」


スッ

薄暗い影が視界に入る。


「ばいばぁい★」


そこには、Qがいた。

嘘…ねぇ、誰か教えて。

持っていたバットで亜紀の顔を何度も何度も殴る。

グシャッ――

頭蓋骨の割れる音。

バキッ――

鼻の骨が折れる音。


「ヒッ――――」


グニャッ――

亜紀を離して、変な物に手をついた。

ゆっくりと見ると、亜紀の眼球を掴んでいた。


「イヤァァァァ――――ッ」


教室に絶叫が響く。