――1年前のバレンタインデー――

両手に今日のために頑張って作ったチョコレートケーキが入った袋を持って、
咲ちゃんが来るのを待っていると、教室の扉が開いた。
顔を上げると、扉のところに私の大好きな人がいた。

「咲ちゃん!」
ついつい笑みを零しながら相手の名を呼ぶ。
『あぁ、蜜柑。帰るか?』

「うん!」

『あっ、賢と玲奈は?』
咲ちゃんがカバンを持って私の方へやってきたので、なんとなく慌ててケーキが入った袋をカバンに詰めてしまった。
あ・・・。
折角作ったのに・・・
潰れてないといぃな。じゃないと、渡せないじゃん・・・


賢ちゃんと玲奈は、私たちの幼馴染だ。
生まれた頃から一緒で、
玲奈と私が大親友で、賢ちゃんと咲ちゃんがお互いに大親友。
私たちは、同じマンションに住んでいるし、大の仲良しだから登下校は毎日一緒なんだ。