漂うのは早朝の病院独特の雰囲気。 老人が多いといえばそれで終わりなのだけれど、どこか静かでどこか悲しい空気。 嫌いじゃない。 そう思って見渡した景色は、少しだけ色を失っていた。 そう、例えるならセピア。 ふと隣を見ると、おじいちゃんが、今にもこっちに寄りかかりそうなくらいに頭をかしげている。 眠いなら帰ればいいのに。 聞こえないように小さく口を動かした。