それから、二次会があって三次会があって、お祭りさわぎがやっと落ち着いた頃、アタシとナツキは余韻を感じながら新居に帰ってきた。





二人で生活するには十分すぎる広さだ。





「ただいまー」





「おかえり」





重い荷物を下ろしてナツキはソファに寝ころんだアタシを見ていた。





「ナツキ君も、おかえり」





アタシは起き上がってソファに空いたスペースをポンポンとたたいた。





「はいはい。ただいま」





その手から離れているのが寂しくて、アナタの温もりを感じられないのが切なくて、アタシは少しだけワガママになる。





「ナツキ君、大好き」





だから、アタシをいっぱい甘えさせて。





嫌だなんて、恥ずかしいだなんて、言わないで。





「お、今日はいつもよりも甘えますね」





抱きついたアタシに彼は意地悪な顔で言った。





「今日だけですよ?」





「ほんとう?」





「………うそ」





「だよね。甘えんぼだもんね」





「うん」





これからどうなるかなんてアタシにも彼にもわからない。





ただ、今ここにあるモノを壊さないように、大事に大事に育むだけがアタシ達にできることだ。





「もう少し落ち着いたらペットでも飼おうか?」





「ほんと? ナツキ君は何がいい? アタシは猫がいいんだけど」





「マジ? オレ、猫アレルギーなんだけど」





「うそ? じゃあ猫はダメだね」





「でもくしゃみ出るだけだからちゃんとすれば大丈夫だろ」





意見が食い違ってケンカすることだってあるだろう。





そんな時はなかなか自分からは謝れないかもしれない。





「ダメだよ。アタシ、犬も好きだよ」





「犬だったら庭で飼いたいよね。このマンション、ペット禁止だし」





「だったら猫もダメじゃん。じゃあ、ガーデニングとかしようか」





「いいけど、やっぱ庭がほしいよね」





それでも、アタシは彼と一緒にいたいから、彼もそう思っていてくれているのがわかるから、それぞれの思うことをちゃんと話して、





「うん。楽しみだね」





「そうだな。これから楽しいこと、いっぱいしてこう」





お互いに納得して、これからのことを決めていこう。





「うん。ナツキ、アタシと結婚してくれてありがとう」





だって、アタシが彼にあげたいモノと、彼がアタシにくれるモノは、同じだから。





「こちらこそ。ハル、オレと結婚してくれてありがとう。そして―――」





「これからもよろしく」





「これからもよろしく」





―――永遠に幸せを。