その兎は、アリスをじーっと見つめていた。 アリスもその兎をじーっと見つめた。 やがてアリスがフッと笑った。 「うん、私きっと寝ぼけているんだ。 夢なのよこれは、うん」 アリスはまた寝ようと目を閉じた。 「ちょっと! そこは僕を追いかけて来るところでしょう!」 「えっ!?兎が喋った!?」 アリスはガバッと木から離れると身を乗り出した。 赤い瞳をした兎。 同じように赤い服を着て、腰には金色の懐中時計がついていた。 ・