弦をはじく手をおとめになって、一の姫が、お袖でそのいとけなきかんばせをお隠しになられて、 「今年で、十になりましてございます」 と、細くお答えになりましたところ、帝は、少し真面目なお顔におなりあそばして、 「うむ……」 と、考えるようなお声でおっしゃいました。