「あら、もしもそうなら、素敵なことね」

一の姫はおっしゃって、また、その花の白いつぼみに、優しげな視線をおおくりになりますので、一の君は、口元をお袖にお隠しになったままで、ますますほほえまれます。

「そのように、あまり見つめられましたら、この小さな花のことですから、物怖じしてしまって、ありのままには心をひらけますまいよ」